10G回線の設定は変更より確認から始める
10G回線が開通したら、最初にやることは細かな高速化設定ではありません。ファームウェアを更新し、10Gでリンクしている場所を確認し、初期状態の速度を記録します。
結論として、速度とデュプレックス、MTUは基本的に自動または既定値から始めます。ジャンボフレームはインターネットを速くする設定ではなく、宅内LANを端から端までそろえられる場合だけ検討します。
作業前に現在の状態を記録する
- ONU、ルーター、スイッチ、NICの型番
- どのポートへ何を接続しているか
- PCのリンク速度
- 有線接続の速度測定結果
- ルーターのファームウェア版
スマホで配線を撮っておくだけでも戻しやすくなります。設定画面のバックアップ機能がある場合は、パスワードなどの秘密情報を含むファイルとして安全な場所へ保存します。
ルーターとNICを更新する
ルーター、スイッチ、10GbE NICのファームウェアやドライバーを公式サポートページから更新します。更新中は電源を切らず、設定の引き継ぎ条件も確認してください。
自動更新が有効でも、購入直後は最新版になっていない場合があります。更新後に再起動が必要か、リリースノートに既知の問題がないかも確認します。
WANとLANのリンク速度を確認する
ONUとルーターのWAN側、ルーターとPCのLAN側を分けて見ます。WANが10GでもLANが1Gなら、PCの上限は基本的に1Gです。
Windowsでは「設定」からネットワークのハードウェア情報、またはPowerShellのGet-NetAdapterでリンク速度を確認できます。Macでは「システム設定」→「ネットワーク」→対象のEthernet→「詳細」→「ハードウェア」を確認します。OSの表示名は版によって少し変わります。
1Gになっている場合は、Cat6Aケーブルへ一時交換し、別ポートでも試します。ルーターのLAN側が10G対応かは10G回線向けルーターの選び方で確認してください。
速度とデュプレックスは自動を基本にする
10GBASE-Tでは接続機器同士が対応速度を自動交渉します。片側だけ速度や全二重を固定すると、接続できない、低い速度へ落ちる、不安定になる原因があります。
メーカーやネットワーク管理者から指定がない限り、自動設定で始めます。トラブル調査で固定する場合も、元の値を記録してから変更します。
IPv6 IPoEとIPv4 over IPv6を確認する
対応する回線とプロバイダーでは、IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6を使うことで、従来のPPPoEとは異なる経路で接続できます。ただし、サービス名と方式は各社で異なります。
ルーターが対応していても、契約側の開通や設定が必要な場合があります。契約先の公式手順で、接続状態と対応ルーターを確認してください。自己判断でPPPoE設定を消す前に、現在の設定をバックアップします。
Wi-Fiは5GHz・6GHzと設置場所を確認する
Wi-Fiで速度を出したい場合は、対応端末を5GHzまたは6GHzへつなぎ、ルーターの近くで測ります。2.4GHzは距離に強い一方、高速測定には向きません。
6GHzや320MHz幅はルーターだけでなく端末側の対応も必要です。SSIDを分けるか自動振り分けを使うかは環境次第なので、まず接続中の周波数帯が見える状態にして測ります。
ジャンボフレームは宅内LANだけで検討する
ジャンボフレームは1フレーム当たりのデータ量を増やし、CPU負荷を抑えながら宅内の大容量転送を改善できる場合があります。ただし、PC、NIC、スイッチ、NASなど経路全体で同じMTUを扱えなければ、通信できない相手が出ることがあります。
インターネットの速度を上げるためにルーターのWAN側MTUを9000へ変更する設定ではありません。NAS転送など目的が明確で、通常MTUの測定値も残している場合だけ試します。
RSSやオフロードは既定値から始める
WindowsのRSSは受信処理を複数のCPUへ分散する機能です。チェックサムオフロードやLarge Send Offloadも、CPU処理をNICへ任せます。一般には有効が基本ですが、NIC、ドライバー、用途によって結果が変わります。
10Gだからといって一括で無効にしないでください。CPU使用率が1コアだけ高い、特定の転送だけ不安定といった症状があるときに、メーカー資料を確認しながら一項目ずつ検証します。
省電力設定は不安定なときに見直す
PCのスリープ復帰後だけリンクしない、転送中に切れる場合は、NICの省電力機能やEnergy Efficient Ethernetが影響していないか確認します。常に無効が正解ではありません。症状が再現する場合だけ変更し、消費電力との違いも見ます。
同じ条件で3回測定する
有線で、VPNや同期を止め、同じ測定先を使って3回測ります。朝と夜でも記録すると、宅内の問題か混雑の影響かを判断しやすくなります。
NASやPC間の宅内LANはiperf3、実際のファイルコピー、ストレージ速度を分けて確認します。インターネットが速くても、SSDやNASの処理が追いつかなければファイル転送はそこで止まります。
遅いときは設定を増やさず切り分ける
期待した速度が出ない場合は、設定項目を増やす前に、短いCat6AでPCをルーターへ直結します。それでも遅ければ、リンク速度、CPU使用率、測定先、回線側を確認します。
詳しい順番はネット速度が遅いときの原因と対処法へ進んでください。全体の必要機材は10Gネットワーク導入ガイドにまとめています。
まとめ
10G回線の初期設定は、更新、リンク速度、接続方式、基準測定の順で進めます。速度やデュプレックスは自動、MTUは既定値から始めるのが基本です。
ジャンボフレームやNICの詳細設定は、目的と比較結果があるときだけ変更します。一つずつ試して記録を残せば、速くなった理由も不具合の原因も追いやすくなります。

